10センチ

 久しぶりに快速に乗る機会があった。普段はひとつひとつ停車していく各駅各駅をのびやかに走り抜けていく。ホームと車両の隙間は約10センチ。ほんの束の間、猛スピードで突き進む鉄塊とゆったりとしたプラットホームが混ざり合う。
 テンポやリズムは違うかもしれない。だが我々はみな運動している。演奏している。境界はなく、合わせることが出来る。