バランス

 あたりまえのように今ここにある私の命は、おそらく奇跡的なバランスによって保たれている。その危うい均衡が崩れたとき、私の命は終わるのだろう。
 花も虫も鳥も同じ。意識や認知の外側に果てなく広がる何かに支えられ、バランスされて存在している。存在は極めて高度な芸術的バランスと同義なのだろう。
 偏狭で矮小な自分に直面するたび、支えられていることに思い至り、反省と感謝の念を禁じえない。今日も一日心臓が動いてくれていたことに労いの気持ちが湧く。AとBの相入性とでもいうべきありようのこの世界。