包容力

 ローカルがそのままグローバルであるこの世界に底の知れなさを感じる。我々は極めて限定的な事象しか把握できず、それすらバイアスのかかった覚束ない目で見ている。だが世界は淡々と全てを胸に抱いて運行させていく。中世ヨーロッパの宗教戦争もインドのスラム街もイチローのホームランも同じシームレスな世界で起きているというのはどういう事態なのか。人智の及ばないところで、ウイルスが拡散するプロセスを淡々と実現しているような自然の運行の源は。
 まるで外部や内部、中心と周辺といった区分が効かないように見受けられる。そのような圧倒的包容力を前にして何を学び取るか。
 無知とその自覚のなさが悲劇を生み出すのかもしれない。無知に気がつけば、それにより引き起こされている悲劇を自覚し、学びに邁進せざるをえない。未知に触れ無知の自覚を呼び覚まし続ける。
 その終わることのない脱却或いは変身が刺激的でないはずがない。