要請

 心と身体をうまく操るのは難しい。知らず知らずのうちに意図から外れていたり、そもそも意図自体の底が抜けていることを省みなくなっている。先を見れば足元のぬかるみにはまり、逆に足元を見れば木の枝に頭をしたたか打ち付けてしまう。
 視点を変えて長い歴史に目を転じてみる。宗教や文化は様々な要請に応えるべく人々が苦心の末編み出した。一個の人間が人生を引き受け続けるのも要請に応えるという点で似通っているかもしれない。変わり続けることで、要請の懐をえぐっていく。
 これさえしておけば大丈夫ということはない。複数のシナリオを用意し、変わり続ける現実に対処する。手持ちのリソースを活用して人生の軌跡を複数イメージする。