印象

 レオナルド・ディカプリオ主演の映画「ブラッド・ダイヤモンド」で、紛争地帯を取材し世界に向けて情報を発信している女性ジャーナリストに、ジャイモン・フンスー演ずる武装組織に虐げられた住民が質問する。
 「あなたは何をしているのですか」「記事を書いているのよ」「それを読んだ世界中の人は助けに来てくれるのですか」「たぶん、こないわね」細かい部分は覚えていないがおよそこのようなやりとりであった。
 私ひとりの持つリソースはたしかに限られている。だがなぜ私は他の事に気をとられてばかりいるのだろう。ジャイモン・フンスーの印象的な問いかけは今でも胸を貫いてくる。
 私を含め多くの人々の視界に入っていないが、この瞬間にも人としての尊厳を踏みにじられている人達がいる。