脱出

 ここのところいや違うなと感じていた。物や人、心中に沸く感情や衝動を予断なしに眺めるだけというのは違う。あらゆるものから距離をとって主体を消し、客体だけを残して眺めると灰色になる。逆に主体だけを残して外部を無視しても蛸壺に閉じ込められるようなまた別の苦しさがある。
 自己中心性からの脱出。混沌とした一体感というよりも、等しく並び立つ並列感から生まれる一体感といった感覚。それこそ私が大事にしているものをより滑らかに表現しているかもしれない。