ワールドカップ閉幕 今回の試合球は変化しやすいボール

球技は人をエキサイトさせる。それはなぜだろう。ワールドカップの試合中継を眺めていると、スタジアムにいるほぼ全員が直径約22センチ程のボールを中心として喜怒哀楽様々な表情を見せているのがわかる。ボールがあるラインを超えれば落胆し、ボールがある枠内に収まれば狂喜乱舞する。ありとあらゆるバックグラウンドを背負った何万人もの人間達が、たった一個の小さな白球の振る舞いによって振り回され、その反応は共鳴しあって巨大なうねりを形成しスタジアム全体が白球を中心に一体となっていく。これは年齢も人種も性別も関係なく日常的に意識している個人という単位を超えて、非日常的な場に身を投じることで一体感を得られるという点で祭りの醍醐味そのものだ。だから球技は祭りの一形態なんだろう。決勝では退場してしまったけれど、終始素晴らしいプレーを披露したフランスのジネディーヌ・ジダンヌはマエストロの愛称で親しまれているらしい。彼の華麗なプレーはスタジアム全体を指揮し、素晴らしい音色を導き出すのだろう。