影響

宮崎駿を特集したプロフェッショナル仕事の流儀
印象深いシーンが随所にあった。
一度見ただけなので正確ではないかもしれんけども
生まれてこなければという葛藤や、
自分たちの奥底にあるものがひょこっと顔を出すという話、
論理ならいくらでもかけるが理屈っぽい大人向けに描いても仕方がない
といったあたりは特によかった。


おやっと思ったのは
良い観客に出会えると報われた気がするという一言。
宮崎駿が製作中には顔も名前もその存在すらも知らなかったアメリカの少女。
千と千尋の神隠しという映画でほんの少し両者の人生が触れ合う。
もちろん推測だけれども、
とんでもない数の観客がいる中でもそのたった一人に
会心のジャストミートの肯定的影響を与えることができたならば
十分満足ということか。


逆に言えば、それくらいの手ごたえをもって
他人に肯定的影響を与えるのは難しいことなのだろう。


ちょっと話は変わるが
否定的影響に関しては対称的ではないかもしれない。


年金記録問題、食品偽装問題、無差別殺傷通り魔事件など
誰しもが自分の身にも降りかかり得る社会問題に対して
ヒステリックに糾弾している報道を目にする。


擁護するわけではない。だが
彼らは悪いことをしてしまったが、
もしかしたら万分の一でも、
私にも責任の一端はあるかもしれないという
考えはよぎらないのだろうか。
無意識のうちにでもそれに加担し、助長している可能性は。


絶望的な断絶を超えてのエントリーもそれに関連して記した。


聖人のように振舞えというのではない。
でもちょっとの自覚さえあれば、
頻発している一方的な
弱いものいじめ的状況はずいぶん無くなるんじゃないか。
報道を見ていてそう思う。