言葉にするのはもったいない

NHKのサイボーグについて取材した番組で
ある実験の被験者となった立花隆
何かを言いたい気持ちが胸の中に渦巻いているにもかかわらず
どう表現して良いかわからないという趣旨の感想を述べていた。
その実験は立花隆の右手に針の電極を刺し
電極の先に据え付けられたロボットアームを刺激することで
人工的に触覚を延長するというショッキングなものだった。


同じくNHKのプロフェッショナル仕事の流儀内での
トークスペシャル坂東玉三郎において
最高の踊りはどんなものかと問われた坂東玉三郎
踊っているものも観ている者も無く
あれは何だったのだろうというと思える踊りだと答えていた。


このような衝撃的であったり感動的な体験はもとより、
普段の何気ない体験でさえも
言葉にのぼらない余白の部分に多くの豊かな恵みが隠れている。


個人間レベルはともかく
国家としての日本にあまり友好的とは言い難い中国の人々が
誇らしげに柔道着に身を包んだ中国人女性金メダリストに
歓声をあげるのを見て、あらためてそう思った。