親しみの延長線上にあるもの

空港のそわそわするような、どこかウキウキするような独特の雰囲気は
多種多様な人々が異なる事情や背景を背負って一ヶ所に集まってくる場所に
特有のものなのかもしれない。


そんな羽田空港のロビーには眩暈がするほど人が溢れている。


みな当たり前のように見知らぬ人々の間にすましているが、
そこで目にするどの一人をとっても味わい深い人生の深みがあるわけで
ほんの瞬間その空間で交差している関係性の密度や深度は計り知れない。
此処では
有限な一個人ではオーバーフローして引き受けきれないほどの
圧倒的な世界の運行をビジュアルで見せ付けられる。


自分の人生が第一とはいえ、ここにいる人々はみなここに至るまでに
様々な道程を辿って来ている。
私がああしていたあの時、この人はどんなことをしていたのだろうか。
この人がこうしていたとき、私は何をしていただろうか。
お互いにかけがえのない人生が同じ地平で展開されていることに
思いを馳せる。


無限から出でて無限に沈む
無限の海に浮かぶ有限の運命共同体


それぞれの関係性を引き受け皆生きているが、その断絶は永遠のものではない。
むしろ有限であるほうが特殊で、無限のほうが本来のあり方かもしれない。


内側から外側を観察し対峙するのではなく
外部すら内部であること。


どうしようもないサガと付き合いつつ
無限となっていくのが人生か。