囲い

 毎日のように東京タワーのお膝元を歩く。行き交う人や車が視界に入り、強弱入り乱れた印象や感情が沸き起こる。やはり私はありのままに見てはいない。何らかの予断や偏見が当然のように混入している。
 そこで、外界と内心とを分離せずに捉えてみる。パブリックな領域とプライベートな領域との不可分性も垣間見える視点。全てが外部とも、全てが内部とも表現できる。
 私を引き渡して、世界と遊ばせる。
 私には囲い込めるものなどなかったのだ。